ドラムと私

ドラムは楽器としてはおそらく一番古く、その歴史は通信手段として用いられた原始の時代まで遡ると思います。シンバルは中世オスマントルコの頃、軍隊行進の際に、兵士を鼓舞するために初めて採用され、その頃に現状の形になったらしいです。ターキッシュシンバルの起こりですね。ちなみに、当時「シンバル職人」に『ジルジャン』という称が与えられたそうで、ジルジャン社は正にシンバルの歴史そのものです。 ドラムセットは1900年以降に徐々に現在の形に近づいてきましたが、大きく進歩したのはジャズやロックンロールが登場する1950年代以降で、1970年代にはハードウェアもほぼ現在の形になりました。基本の3点セットから多点セットへと、音楽と共に変貌してきました。エイトブラザースなどのメロタムが流行ってましたね。最近は材質や加工技術の方が注目され、楽器としての大きな変化・革新はありません。

私は1957年3月生まれで、小学校の鼓笛隊からキャリアがスタートしました。ドラム馬鹿の誕生ですね。中学のブラスバンドから大学の軽音楽部までの10年間は1970年代とシンクロし、音楽的にもドラムにとっても実りの多い年代でした。グループサウンズからビートルズ、ブルースからジャズ、ウエストコーストからフュージョン、凄く恵まれた年代に青春をドラムと共に過ごせたと思っています。 1980年代はテクノポップが台頭し、シモンズ等の初期のデジタルドラムも出てきたものの、個人的には1番つまらない年代でした。トリガーの登場もこの頃だったと思います。1990年以降はアコースティックへの回帰が始まり、それと同時に私も本格的に音楽活動を再開しました。ブルースとかジャズ・フュージョン等、声が掛かれば何処へでも参加してましたが、最近は固定化し、社会人ジャズビッグバンドを2つ掛け持ちしております。イージーなバンドと、ストイックなバンド。ホントに両極端なんですよね。現在はこの2つのバンドで、大小合わせて年間15本ほどのライブを行っています。

さて、私の現在の使用楽器を紹介しましょう。 セット本体は大学から使用しているオールドの「ロジャース」で、いつの間にかビンテージと呼ばれるようになってしまいました。BD20゛FT16゛TT13゛TT12゛のメイプルのセットです。2年前にタム3点をパール社のマスターキャストフープに換装しました ところ、サウンドが少しグレッチぽくなったような気が…。しかし、自分でも不思議なくらいセット本体には無関心なんですねー。カタログを見ながら、パールならMMXかMSX、ヤマハならメイプルカスタム、カノウプスのバーチもいいなとか、空想や妄想は広がるのに購入には至りません。スネアなら10万円以上でも衝動買いするクセに…。 これはやはり病気?いや中毒かな?

この20年でドラムにもハイテクの波が押し寄せ、トリガーによるパソコンとの同期など、クリックの苦手な旧人類ドラマーには理解できない(理解しようとしない)状況になってきております。私も何度となくDTMにトライしようと思ってますが、説明を読むだけで5分以内に眠ることが出来ます。でも練習用とはいえ、ヤマハのエレドラDTエクスプレス(初期型)があるのは自慢しても良いでしょうか? もちろん設定は購入時のままで、一切手を加えておりませんが、旧人類の中では進歩的だと思っております。家の中で音量を気にせず、音源に合わせてドラムの練習が出来るという画期的な新製品の登場に感激して、飛びついて買ったのを思い出します。今でも練習に使用していますが、パッドのゴムがひび割れてきた為そろそろ新しいのが欲しいなーと思ってますが、楽器屋に行けばまたスネアを買ってしまうような気がしてコワイ私。この金額ならN&Cの単板スネアと同じ位やなぁ…
あ〜イカンいかん、また悪魔の囁きが。

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