スティックのお話

私がドラムに初めて触れたのは、小学校5年生の音楽の時間。
そのとき手にしていたのは教材用の「小太鼓用撥」で、記憶によると100円也。そののち鼓笛隊に入るも、その撥を使い続けておりました。中学生になりブラスバンド部に入るが、一年生の間は楽器に触らせてもらえず、基礎練習に明け暮れておりました。当時はスパルタンな先輩を恨んだりしましたが、これが今になっても非常に役に立っているのですね。そのとき手にしていたのは練習用の金属撥(多分アルミ合金)で、同期生は手の皮が破れて出血しましたが、不思議と私は何ともなかったのです。中学2年生になってめでたく楽器を触れるようになったのですが、そのときには部室の太鼓用道具箱に散らかった撥を選んでペアにしていました。それで同期生と初めてスティックを買いに楽器屋へ行ったのですが、メーカー名も相場も解からず、いきなり「ラディック」を買って帰ったのですから、先輩達もビックリ。なにせ1組1200円もしましたから…。
1970年当時、日本製スティックはあまり無く、先輩達は「Stiming(多分)」というメーカーを使っており、セットで5〜600円だったようです。ちなみに、当時は地下鉄1区間30円、豚玉100円という良き時代の話です。私が通っていた学校は中・高一貫の6年教育でしたので、その後大きな変化も無く進学します。この頃から国産ドラムは飛躍的に発展し、スティックにも本格的に取り組むようになりました。

大学へ進み、入学式の日に軽音楽部の部室に居た私は、先輩達の機材に非常に刺激を受け、そして未だに続く楽器屋通いが始まるのです。当時から海外製スティックにはシグネチャーモデルがありました。グレッチ1Aは「アート・ブレイキー」、ラディック7Aは「ロイ・ヘインズ」、8Aは「エド・シグペン」などです。年代によってレタリングが変ったり、バランスが変ったり、本当に色々な種類を試しました。最近は落ち着いてきて、(ジャンルによって変えますが)固定しています。

ビッグバンド用   ベーター社 「スーパージャズ」
             ジルジャン社 「シンディ・ブラックマン」
一般コンボ用    ジルジャン社 「ロイ・ヘインズ」
            リーガルチップ社 「ルイス・ナッシュ」
ロック・ポップ用  パール社 「村上ポンタ」

以上が固定メンバーですが、最近のマイブームも一つ。
ビックファース社のダイヤモンドチップ(ナイロンチップ)8ANがそうです。ダイヤモンドチップは故ジェフ・ポーカロの父親であるジョー・ポーカロのアイデアで、以前のモデルも使いましたが、今回のビックファース社とのコラボにより完成の域に達したと思います。
小さなチップがクリアな響きを生み、しかも音色が変らず長持ち、すばらしい。

もちろん御守用に「バディ・リッチ」モデルは所有しております。当たり前。

Buddy rich
Lewis nash
Roy haynes
Vic firth 他

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